**探究/方略/反例
*** 定義 -想定している命題に対して,それが成り立たないことを示す例 ***背景 -命題が正しくないことを示すためには,反例が一つでもあることを示せばいい。 -- 4つの連続する自然数の和は4の倍数→「1+2+3+4=10は4で割ると2余る」 -命題が正しいことを示すには,反例が見つからないだけでは不十分で,証明しないといけない。 -- 3つの連続する自然数の和は3の倍数→ n+(n+1)+(n+2)= 3n+3 = 3(n+1) -たとえば,図形の場合,伝統的な道具でいろいろな場合を作図などして調べるのは「大変」だし,誤差もありうるから,反例を見つけるのは少し大変で,推論等もきっと必要だった。 -GCなどを使うと,「いろいろな場合を調べる」ことは容易に行えるから,想定している命題に対して,次のいずれであるかを判定するのは,伝統的な道具よりも容易。 -- 反例があって,命題は成立しない。 -- 反例はなかなか見つからないから,たぶん,命題は成立する。 **** でも,... - 反例が見つからないことは,命題はほぼ正しいことを意味するけれども,証明にはならない。 - 一方,実質的には「妥当性を示してくれる」ともいえるから,証明を考える上では,単に「真偽性を見極める」こととは別の原動力が必要になるかもしれない。 *** 反例の検討などをさせる「実質的な価値」の増大 - 本来は,条件変えなどによってつくる命題は,「正しいかどうかわからない」 - すぐに証明などに取り組むのはリスクが大きく,「本気で取り組む価値があるかどうか」を査定することが必要。 - 「それに多大な時間がかかる」場合,「それが不毛な時間にしかならない」ことが見込まれる事例なら,授業などでは扱わなかった可能性は高い。 - しかし,ICT利用で,短時間でそれを見極めることができるなら,それをする意味は高まっているといえる。 *** 見極めるのが困難な例もある - 「デジタル」独自の誤差などとの戦いもありうる。 -- 数値的に問題があっても,それが本質的な反例かどうかを見極める必要がある - 見極めがむずかしいこともある。 *** 具体的な事例 **** 誤差 / 円周角の定理など |#00217-yiijima-2021-06-133| -中心角は円周角の2倍? -三角形の内角の和は180°? **** 内心=角の2等分線 → 3,4,5等分線に変えてみる |#00223-0521-01| -できるのは正三角形? -- 一つでも「明確にちがう」のが見つかれば成立しないことがいえる。 -- この場合,「直角三角形や鈍角三角形」みたいな明確なのはできないので,ちょっと微妙なのだけれど。 **** 2つの角の関係 -次の図の∠BACと∠BDCの関係(Dは角の二等分線の交点) |#00241-0524-01| -2倍かなと思う。 -どうでしょう。